「お金がない!」
「お金が足りない!」
「節約節約!」
そう言って過剰な質素倹約に勤しむ人がいるが、僕はそれをおすすめしない。
車や家、結婚式などにお金をかける必要はないとは思っているが、精神的負荷をかけてまで、生活水準を下げるのは得策ではない。
勤め人の時間術()もそうだけど、細かいところでいくら努力しても大したことはない。
もっと大きなところを変える。
僕のブラック企業時代の同期にも、車(大きなところ)で高い買い物をし、毎日の昼飯(小さなところ)は30円のうどんを食べているやつがいた。
過剰な節約は早晩に燃え尽きる。
精神力頼みの些細な質素倹約など、結局は失敗するのだ。
高ストレス下での貯金がたまらない構造
勤め人の給料というのが、仕事から受けるダメージを回復させるための必要経費なのだとしたら、激務高収入の仕事は宿命的に心身の疲労が激しいものにならざるを得ない。
節約家の僕をして、かつての激務仕事ではまったく貯金ができなかった。
貯金が貯まらない構造が確かにある。
それを知るだけで人生が一変する人間も居るだろう。
僕と同じ支店に配属された同期たちは、僕を含め、全員3年続けられずに辞めた。
高ストレス下における金の遣い方という切り口で、いかに限界ギリギリだったかを軽く紹介しよう。
ブラック激務高給時代の同期
仕事で激疲れているのに、夕食を一玉30円のうどん一つで済ませていた同期のギャル男は、若くして高血圧になってしまった。
愛車のBMW(南アフリカ仕様)の駐車場代を払う為に、彼は自らの命を削っていたのだ。
辞めた今、関係なくなったはずなのに元上司やその他マネージャーなど、あの組織の上下関係が染み付いていて、超恐れている小心な奴。
奥さん子供を食わせる為に、小遣いを極限まで絞られて、晩酌には第3のビールすら許されなくなって、韓国製の怪しいビール飲料を愛飲していた体育会系ゴリラは、気持ち悪い肥り方をしていた。
筋骨隆々の引き締まった身体をしていたが、気持ちいいぐらいのおっさん体型になった。
家庭運にはすごく恵まれ、幸せそうだった。
僕は、眠剤代わりにチリ産のワインをネットで箱買いする様になって、毎晩寝る前にマグカップでがぶ飲みしていた。
食事も適当でガリガリに痩せて、瞬く間にオタク風の非モテになった。
ワインには詳しくなった(※今は全部忘れた)。
退職後、労基署に駆け込んだり、未払い残業代の請求をしたりと、怒り狂った末に様々な反撃に出て、会社は元社員の小僧相手に文字通り震え上がる事になる。
⇒【白熱教室】ブラック企業のサビ残にキレて、未払い残業代を請求し170万円ゲットした方法
僕には、向いていない仕事であった。
全員、激務適性がなかったが故に、大なり小なり人生に傷を負い、ボロボロになって玉砕した。
理由は簡単で、高いと言われる給料でも、回復できないほど、仕事から受けるダメージが大きかったからだ。
ガダルカナル状態だった。
あるいは、その人の適正によって、激務仕事でも貯金が増えていくかもしれないとは思う。
ハードワークやショートスリープによって、心身にダメージを受けにくい体質であるとか、疲れたとしても回復する力が高いから回復に要するコストが低く済むとか。
でも、あの仕事に対する一番の適正は、倫理とか正義とかについて深く考えない性質だろうな。
同期でも頭のネジが飛んでる奴は、辛いと言いつつ残ってるし。適性は人によって色々だと思う。
激務高給の仕事は、少なくとも僕には向いていなかった。
大学生の頃に相場で貯めた虎の子の貯金は減るばかりだったから、明らかに赤字だった。
その後、転職し、仕事の強度を落とした事で、この『適性』は逆側からも証明されている。
なぜなら、次のお仕事で給料は減ったが毎月貯金できる様になったからだ。
勤め人としては中収入でも低支出により黒字。
更に土日に多少のアルバイトをして、貯金は少しずつ厚みを増して行った。
これを目指して転職したのだから、目論見が中って、やはり嬉しかった。
⇒【給料とストレスの関係】収入が良い企業は、どこもストレスが大きいのか
精神力頼みの質素倹約は、結局失敗する
ちなみに、多分、止しておいた方がいい作戦というのが、精神力頼みの過剰な質素倹約生活である。
人間はその本質として長期の禁欲には耐えられないのだ。
帰国子女オンナの例の通り、何かの拍子にタガが緩むと欲求が爆発して、結局、しょうもないものをヤケ買いしてしまうのが落ちだと思う。
最後に、兎にも角にも、僕がこれ読んでくれてる方に伝えたい事というのは、無理スンナ、って事であって、お金を稼ぐにしても無理しない、お金を節約するにしても無理しない、それが大事ですよと。
なるべく自分の心身に無理にならない仕組みとか仕掛けを、各自の創意工夫で編み出して、生活の中に組み込んで欲しいなあと思う。
⇒日記編 第1話【行動する人、しない人】紙にペンで書く習慣が、両者を分かつ
⇒【新築の家を買うと窮乏する】住宅ローン地獄を我慢して働く勤め人