給料が労働力の原価なのはわかった。
じゃあなんで財閥系のエリートサラリーマンと、普通の年収200万の会社員とで給料に差があるのか?って話。
同じ人間だから、食べる量、寝る時間、つまり「回復にかかる経費」は同じだろって。
残念ながら、同じ人間でも労働力再生産にかかる経費は違うのだ。
激務系の勤め人には、「たまにはキャバクラなりソープランドなり行って、ストレス発散してこいよ」という経費が給料に含まれている。
信じられないかもしれないが、マジだ。
だからエリートサラリーマンも決まって金がない。
質問:企業ごとに給料に大きな差があるのはなぜですか?
読者の方からの質問があった。謹んでお答えする。なかなか骨っぽいご質問なので、コメント欄で終わるのも勿体なく、記事にしたる次第。
みんなも僕のネタ不足解消のために、ドシドシ質問してくれよな!
もとの記事はこちら。
「給料の決まり方 〜とある普遍の法則について〜」
以下ご質問。
最近読み始めました。
質問答えてくださると嬉しいです。
給料が原価というのは分かりましたが、企業ごとに給料に大きな差があるのはなぜですか?
財閥系総合商社の社員と年収200万の会社の社員が日々過ごすのに必要な費用がそこまで違うように思えないです。
総合商社の社員は金があるから、それなりの生活をしているだけで
もっと給料少なくとも普通に暮らしていけると思うのですが、
どうなんでしょうか?
よろしければご回答お願いします。
回復に必要な経費(お金)が多いから
ふむふむ、なるほど。
<給料が原価というのは分かりましたが、企業ごとに給料に大きな差があるのはなぜですか?
その理由の一つはここで解説しとる。
激務の勤め人は、衣食住だけを補給すればよいのではなく、精神面のダメージを回復させなければならない。激務の人の給料には最初から
「たまにはキャバクラなりソープランドなり行って、ストレス発散してこいよ」
の費用が組み込まれているのだ。だから給料高い。
だったら俺もキャバクラ行きたい!お前らだけソープ行くのはズルい!俺も給料高い仕事したい!と考えるのは全くの不見識であると指摘しておく(※究極は人それぞれの価値観だけど)。
激務は表面上給料高いが、当人は心身・自由時間ともに相当キツイ。何しろ『勤め人卒業』は絶対に望めないし、『会社潰れたら?』の備えも忙しくて出来ようが無い。
ずっと奴隷が続く。生活水準のとても高い奴隷がだ。言ってしまえば旧来の働き方なのだ。
僕がこのブログで主張しているのは、ぬるい仕事して生活は節約してお金を貯めよう、タネ銭にしよう、というもの。逆の生き方だ。
あとさ、財閥系総合商社でバリバリ仕事するエースが、安い腕時計は出来ないし、吊るしのスーツは着れないし、ボロい靴は恥ずかしくて履けないのよ。
お客さんとゴルフ行って、時計の話とか車の話で盛り上がって仕事を取ってくるのよ。遊びにも詳しくないと仕事取れないという仕事の性質なのよ。
英会話とかにも行って自分を磨かないといけないしさ。
仕事するのにとにかく凄いお金がかかる訳ですよ。だから給料が高いの。でも、お金は残らない(超重要)。
回復に要するお金が多いって事だね。
子供の代の再生産
次。
<財閥系総合商社の社員と年収200万の会社の社員が日々過ごすのに必要な費用がそこまで違うように思えない
もの凄く違います。
上段で述べたのは一つ目の労働力再生産。
二つ目の「労働力再生産」を見落としているね。
財閥系の総合商社というやつは、自社に採用したい学生に対し、基礎的な学力や村社会への適応性、恵まれた家庭環境、健康で前向きな精神、性格の温順さ、海外でも生き抜けるタフネス、などなどレアな素養を求める訳だ。
そう言うスペックを持った子どもを産み育て教育を受けさせて成人させるまでに、すんげー金がかかる。
低学歴で漢字書けないとか割り算が怪しいレベルの労働者に比べて、こう言う高品質の労働者には育成段階で安くて1000万円、高いと3000万円ぐらいは、上乗せで教育その他の費用がかかってくる。
つまりは必要経費。子供の代の再生産に対する出費ですな。
子供の教育費がかさむタイミングで、勤め人の給料はピークを迎えるのはそのため。
医者にしろ商社マンにしろ、そんなに贅沢三昧してるか?というと、プライベートでは決してそんなことはない。
ちなみに、子どもを産まない夫婦はそれだけで富裕になれるというちょっとした不平等があって、彼らは間違いなく贅沢三昧なのだが、まあここではその話はしない。
財閥系商社も、自分の社員の生活がみすぼらしかったり金が無いことでケチな犯罪に走られたら沽券にかかわるし、少しぐらい豊かな生活させるのも必要経費として認めてるってことだね。
人の命は不平等なのだ
<総合商社の社員は金があるから、それなりの生活をしているだけでもっと給料少なくとも普通に暮らしていけると思うのですが、どうなんでしょうか?
無理です。やはりこれも上に述べた通り。子どもを再生産するのに教育その他で莫大なカネがかかる。原資は給料以外に無い。だから給料高い。
低スペの低賃金の会社とはつまりこう言う事ですな。
「うちの会社の仕事はバカでも出来るし、それなら別に子どもに高い教育を施す必要なんか無いでしょ?」
と言う事業主のスタンスがまずあって、その本音を、給料の額が雄弁に語っているという訳です。
別に子どもに高い教育費なんかかけなくて、三食与えて最低限の生活させておいて、長じて後は従順で忠実な社畜であればよろしい、と。経営者はそう考えてるだけなの。
ここではっきり言ってしまいますわ。
人の命は不平等なんですよ。
就活学生の値段なんかマジで大いに不平等。
女から見た男の値段も不平等で、弱い男、子どもを育てる給料を貰ってこれない男に、女はセックスさせない。
それがこの世界の現実なのです。
法の上の建前は平等だから、平等に扱えって言うやつ居るけど、それは無理なのであります。
人は平等を求める時に、常に自分の上の人間との平等を求める。
人間の愚かさとご都合主義をするどく指摘した箴言(しんげん)ですな。
をはり。
給料は労働力の再生産費ってのはマルクスの資本論に出てくるんだけど、あんな吐きそうな本は読まなくていい。
木暮太一さんの解説本で十分理解できる。(まあ暇な大学生とかはトライしてみてもいいかな)
木暮太一さんの解説本で十分理解できる。(まあ暇な大学生とかはトライしてみてもいいかな)
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