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質問【今1000万円貰うべきか問題】割引現在価値から①だと思ったがそれでも②のがいいのだろうか

今1000万円貰うべきか、或いは10年に分けて100万円ずつ10回貰うべきか、の問題について、たくさんコメントを頂くことが出来た。

僕なりに意図を解説したつもりではあったが、おおかたの予想通り、今すぐ1000万円を貰う選択を選びたい人が多いようであった。

これは石器時代のサルの習性である。
未来の予定よりも、今すぐ食べてしまう事を選好する。なぜなら、自然界では未来において食べられるかどうかなんて、不確かだからだ。

多くの人間は、下働きから解放されることはない【学校教育の目的】大人が敷くレールとは 

 

今回の記事で登場する本。
2017年のベストセラー。

「人間はどうやって今の生き方に至ったか」など、進化生物学・進化心理学が好きな人には絶対刺さる。

マシュマロ実験

マシュマロ実験をご存知だろうか?

(wikiになるけどリンク張っておこう)

子どもを使った実験ですな。

目の前のマシュマロを15分我慢できたらもう一つあげよう、と言って子どもの行動を観察する。
我慢できた子どもと、食べてしまった子どもに分かれる。

んで、その子の将来を追跡調査すると、目の前のマシュマロを我慢できた子は大人になっても社会的に成功する傾向が高い、と。(という事は、15分待てば倍の報酬が得られるのに、目の前のマシュマロを食べてしまった子の将来は芳しくないものになった、てな話なのだろうか)

 

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イメージできる人とできない人

サピエンス全史(ユヴァル・ノア・ハラリ著)には、ホモ・サピエンスが地球の王者となれた決定的な能力として、虚構(イメージ)の能力を挙げている。

強力なライバルで、筋力に優れたネアンデルタール人を、ホモ・サピエンスは策略で追い詰め大虐殺して絶滅に追いやり、地球の覇者となった。

虚構には色々ある。
人を騙すことも虚構。
俺達は仲間だぜという約束を交わすのも虚構。

イメージの力だ。

ここでは、自分にかける暗示と言う意味での虚構の能力を指している。
15分後まで目の前のマシュマロを我慢するには、2つのマシュマロを眼前にはっきりとイメージ出来なければならない。

同じホモ・サピエンスにも、出来る人と出来ない人がいる。

かつてホモ・サピエンスがネアンデルタール人を始めとした他の人類たちをなで斬りにして絶滅させたのは、虚構の力によるのだが、果たせるかな、我々現代人の間にも虚構を操る能力の高低があり、イメージ力が低いゆえに目の前のマシュマロを我慢できないタイプの人間は、ネアンデルタール人がそうなった運命と同様、我慢できてしまうタイプの人間に、罠にかけられて奴隷にされてしまう。

人が人を奴隷にする。この洗練された資本主義の世の中でも、そこらじゅうで行われている事だ。みんな言わないだけで。

また余談だった。

このご時世、割引現在価値など机上の空論でしかない

質問にお答えしよう。

「割引現在価値から①だと思ったが、それでも②のがいいのだろうか?」

質問と言うよりつぶやきだな。お答えしよう。

まず、割引価値と言うのは経済学用語である。

経済学では今目の前の1000万円は、10年後に貰える1000万円よりも価値が高いとしている。

お金は、商売で上手く利殖すれば増えるという性質があるゆえ、レンタルビデオと同じ理屈で、借りたい人に貸すという商売が成立する。

お金貸しは最古の商売であるため、レンタル料も旧作は週200円ですとかざっくりしたものじゃなく、年利◯%と言うレンタル業界の中では最も洗練されたプライシング形態を取っている。

現在価値と言うのは、世間の金利相場を勘案して、今の1000万円が10年後だと幾らになるかを計算するものだ。

年の金利が2%の世の中だと、年に20万円の利子が付く。単利計算になるが、この利子が10年分で、200万円。合して1200万円。

ゆえに、10年後の1200万円と、今の1000万円は等価になる、と言う理屈である。だから今すぐ貰うお金には、額は少なくても高い価値がある、と。

まず、現在価値を説明するための教科書は、たいてい金利2%とかで説明されている。僕が今まさにした通りだが、あれは説明を分かりやすくするための架空の金利だ。このご時世、預けるだけで2%なんか付かない。

今や銀行預金金利は0%として良い。

ここにおいて、現在価値と未来価値はぜんぜん変わらず、割引現在価値など机上の空論でしかないと言うのも過言ではないという、未曾有の世の中となってしまった。

ならば、心理満足の効果が高い10年分割貰いの方が、金額は同じでも人を幸せに、且つ、真剣にしてくれる。

成長を遂げた未来の自分をイメージできないのだろうか

マシュマロ実験の通り、意志力の低いサルは、ネアンデルタール人がたどった運命と同様、頭のいいサルから一方的に虐殺される運命にあることを忘れちゃいかん。

今の自分よりも5年後、10年後の自分のほうが、知恵も付き経験も増しているはずだ。
成長を遂げた未来の自分に判断を任せる方が良い、とは考えられぬだろうか。

それでも今全部欲しいって人は、未来に成長した自分をイメージ出来ていないのである。

それは、今を真剣に積み重ねていない証拠だし、言ってしまえばイメージする力が無いサル寄りのタイプだ。
我慢出来る人に、動きを読まれてはめられて、奴隷になる方向性の一生だと思う。

ずいぶん説教臭くなってしまった。すまぬ。

をはり。

 

参考

サピエンス全史みたいな本は、意識して読まないと絶対に触れることのないジャンルである。
勤め人の仕事にはまず役になんか立たないから。

でも、こう言う本を読まないと、みんなが知らない面白いことも喋れるようにはならないし、あと純粋に知的好奇心が満たされる。

一読の価値は十分ある。
物の見方が変わると思う。

 

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