機械化と労働生産性について整理しておこう。
労働効率とも呼ばれる。
日本が先進国で居られるのは、国民一人当たりの労働効率が良く、生産性が高いからである。
しかし、労働効率が良いと言っても、世界ランクで見ると、トップクラスに居る訳ではない。
ベルギーだとか北欧だとかは、なぜいつも労働生産性ランキングで上位にいるのか?と言うと、産業構造が金融やITなどの先端のものに集約しているからと言われる。
あとは働く時間が短いから。
時間当たりに生み出す付加価値は、働かないほど大きくなるの道理である。
比類なき生産効率の実現
もう一つ典型例を紹介する。
留学中にお話ししたオーストラリア人の件。
彼のお父さんはブルーカラーの鉱山労働者なのに、年収は1000万円を軽く越え、週5日勤務だけどだいたい昼間で仕事終わる生活であるとか。
1ヶ月の長期休暇も年に2回。悠々自適である。
このカラクリは、体育館ぐらいに見上げるほど超巨大なショベルカーを操り、ガバァッと石炭を掬って、一気に大量に運ぶがゆえに、比類なき生産効率を実現しているのである。
高度な機械化と、恵まれた地下資源によって、豊かなのだ。
⇒なんのために働くのか【就職・転職の基準】職業の選び方を解説する
超巨大ダンプを遣う産業は、豊かである
日本がなぜ労働生産性ではトップクラスに行けないのか?と言うと、古臭く非効率な産業がしぶとく温存されていることと、資源を持たないからであろう。
とは言え、日本は先進国でそれなりに豊かである。国民一人一人が極限まで機械化されているからだ。
今の資本主義世界で、絶対に豊かになれない産業がどんなものか、と言ったら、たとえば人力とスコップで石炭を掘るような産業だ。
超巨大ダンプを遣う人と競合したら、勝負にならない。
スコップであろうが、超巨大ダンプであろうが、労働者は労働者。
雇って拘束するに際しては、衣食住が賄える経費を、給料として与えなければならない。
スコップでは競争に勝てない訳である。
日本の労働効率の高さを担保しているものは製造業であろう。
最新鋭の工場、道路や路線などの都市インフラ、これらは全て日本人の装備品だ。
日本人労働者は最新鋭の工場というスーパーロボを装備してモノづくりをしている。
だから、素手で車作ろうとしてる奴らを蹴散らす事が出来る。
土木工事にしてもITにしても、日本の機械化は極限まで進んでいると言ってよろしい。
どれだけ人件費が安い国であろうと、最新技術で機械化された労働者とは勝負にならない。
これが、国際競争力がある、という事だ。
製造業の分野で、日本人は富を産みまくり、他国より効率よく作った製品を交換のタネにする事で、外国人の労働者が手間暇かけて作った産物を輸入する事ができる。
つまり、機械化された日本人精鋭労働者1人が自動車を作ると、低開発国の労働者10人必死こいて生活必需品を作って、交換しないといけない、そういう労働力の交換レートみたいなのが、労働効率の差によって生ずるのである。
⇒質問【給料に差がある理由】企業ごとに収入(年収)に大きな差があるのはなぜか
しかし、あなたの給料は豊かにならない
そして、ここが超大事なことなんだけど、超巨大ロボで武装されていようと、スコップ比1000倍の効率を叩き出そうと、給料はその人の生活コストしか出ないという事だ。
給料の定義がそう。
スコップの人は、スコップの国の水準の生活コストに相応の賃金を貰う。
ま、今日はここまでにしておきましょう。つづく。
ちょっと難しかったかな。ではまた次回。
⇒【給料の決まり方】あなたの収入が低い理由 〜とある普遍の法則について〜