春である。
勤め人の皆様は、新入社員の応対にいろいろな悶着が発生している事だろう。
僕も数年前に新入社員たりし頃を経ているが、閉鎖的かつ暴力的な会社だったこともあり、暗黒時代として記憶にもやがかかったようで、ボンヤリとしか思い出せない。
「俺は新人のころに上場企業のあの社長を落としたんだ!」
などと武勇伝を語る先輩やマネージャーたちが山ほどいた事は確かであった。
だが、正直言って、彼らの話に信憑性は無い。
ホラを吹くのが仕事の奴らだ。
信じるに値しない。
目次
聖帝が勤め人にできるアドバイス
僕が、ブログ読者の方に勤め人の世界で優位に立てるようなアドバイスができるかどうかは分からない。
だが、掟はある。
1.ご主人様を儲けさせる
2.貰う給料以上の労働力を提供する
お買い得な労働者たれ、と言う事である。
豪商志望でも最初は頑張る。
仕事できるようになったら手を抜き始める。
将来勤め人で上に行きたいなら頑張りを継続するといい。
クサイおっさんよりも歴史から学ぶ方がよっぽどマシ
ところで、会社にいるクサイおじさんの眉唾な武勇伝を聴くぐらいなら、『史』を紐解く方がよっぽど良いと僕は思う。
最強の新入社員としてパッと思い付いたのは木下藤吉郎(後の豊臣秀吉)である。
余りにも仕事が出来る人過ぎて、そんなに参考にならないかもしれないが、即興で書く。
この人はまず、尾張の生まれ。
食うや食わずの水呑み百姓だったらしい。
藤吉郎は天性サービス精神が旺盛で、晩年、色々と談話を遺している。
「信長様にお仕えしていた頃はウンタラ」と、むかし語りをしまくったはずなのに、幼少期の話は一切遺ってない。
よほど惨めで辛い少年時代を過ごしたのだろうと推察される。
⇒働かない「窓際社員のおじさん」が、頑張っている僕より給料が高い理由
極貧に戻るのが嫌でひたすら頑張った
さて、藤吉郎の出発は、家から追い出されるところから始まる。
母ちゃんの再婚相手の義父とケンカしたからだ。
実父の残した僅かな財産を持たされて、家出同然で旅立った。
当時の東海地方は、駿河の今川義元という殿様の名が高かった。
いずれ京都に上って今川幕府を開く志を示していたから、藤吉郎はこの人に仕えようと思って、東海道を下り(※この時代は京都が都なので、京都から離れる方角が下り。
京都に近づく方角が上り。今の時代は東京が都なので上りと下りの方角が逆になっている)、今で言う浜松まで歩いた。
そこで、今川家の家臣である松下嘉兵衛という人に縁があって仕える。
藤吉郎は、最初、お笑い芸人として採用された。
猿のモノマネ係であった。
松下家の女子供は大笑いし、藤吉郎の評価は高かった。
藤吉郎は、極貧の水呑百姓に戻るのが嫌な一心で、ひたむきに与えられた仕事を頑張ったのだ。
周りからの嫉妬でクビになった藤吉郎。だが断る、の精神。
ある時、嘉兵衛は、藤吉郎がやたら計算が早い事に気がついた。
そこで、会計係を任命した。
狙い通り、めちゃくちゃ計算が早い。
そして正確。こりゃあ仕事が出来る奴だ、と。
そうしたところ、長年松下家に仕える先輩らが、藤吉郎に嫉妬をし始めた。
新入りを追い落とそうと奸計をめぐらせた。
「藤吉郎が金を盗んだ!あいつは私服を肥やしている!」と、偽の罪をでっちあげ、嘉兵衛に告げ口したのである。
なんと言うクソみたいな奴らだ、こんな奴らを雇っている殿もおかしい、と、藤吉郎は思った。
ともかく、自分は金を盗んでいないと弁明した。
嘉兵衛は、藤吉郎を気に入っていたが、
「和を重んじたい」
と言う主義である。自分の周りに波風が立つのが嫌なゴミの様な奴であった。
評価は仕事が出来る出来ないじゃない。(日本には多いですな、こう言う上司、こう言う会社)
「藤吉郎、お前がここにいるとトラブルが起こって仕方ない。退職金多めに出すから、松下家から出ていってくれないか」
と言った。
藤吉郎はクビになったのである。
退職金はありがたい話であったが、彼はもう狂ったように怒った。そして泣いた。
「わたしは一生懸命働いた!不正もしていない!なのにあなたの仕打ちは何だ!今は戦国の世だ!下克上だ!下克上とは、下の者が仕える殿様を選ぶという事!わたしはあなたにクビにされたのではないぞ!わたしがあなたを見限ってこんな会社辞めてやるんだ!だから退職金は要らん!」
そう言って出ていった。
岸辺露伴の言う、だが断る、の精神だ。漢である。
⇒【意志を持つ人、持たない人】政治とは何かを、説明できるか?
信長に仕える
お調子者キャラの藤吉郎だが、通すべき筋は通す。
これは一生涯変わらない。
こんなボンクラを家来にしているのだから、今川義元も大したやつじゃ無いかもしれないな、と考え、駿河に行くのは止めた。
松下家に仕えている間に、尾張の大うつけとして名高い織田信長が、もの凄い勢いで尾張国を統一しようとしている、という噂を聴いていた。
藤吉郎は、祖国の尾張に向かった。
信長という人はアヴァンギャルドなファッションセンスの持ち主で、自分の着物の背中には、極彩色で、勃起したチンコの肉筆画を描かせたものを好んで着用していた。
クラトロさんのセンスに通じるものがある。
松下嘉兵衛の時に藤吉郎は殿様の近くに居ないと出世しない事を学んでいたので、その教訓を活かし、信長様の草履取りで採用されるキャリアを選んだ。
信長様は、藤吉郎を見て、なんかこいつペコペコしてて仕事も超できるけど何考えてるかわからん奴だな、と思った。
信長様は、いたずらを思い付いた。
藤吉郎が出社する通勤路に先回りして、塀に隠れながら、藤吉郎がそこを通ったタイミングで、顔に小便をかけたのである。
ぐわっとなる。しかも自分の顔にかかったのは小便ではないか。藤吉郎は怒った。
「誰だ!小便をかけたのは!許さん!」
と、ブチ切れてわめいた。
「俺だ」
と言って、信長様は出て行った。テストである。
藤吉郎は、相手が殿だろうと許さんもんは許さん!とわめき続けた。死ぬ覚悟である。漢だ。
信長様はそう言う奴は嫌いじゃなかった。
「悪かった悪かった、今度いい仕事があったらお前に回すから許してくれ」
と、信長様は詫たそうな。
最強の新人は、まだ何も仕事をしていない事にびっくりするが、その2に続く!新入社員の方の参考になればいい!震えて待て!
参考:
⇒採用面接必勝之法【就職・転職の面接で受かる方法】大切なのは"自己犠牲の精神"