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事業者はいつも従業員のサービス残業の誘惑に晒される

事業者にとって、「人を雇うこと」は商売において「仕入れ」に値する。

仕入れがタダでできる商売など、世の中にあるのだろうか。

それが、ある。
しかもかなり身近に。

『サービス残業』だ。

事業者にとって、『サービス残業』ほど美味しいものはない。
なぜなら、サービス残業とは、つまり仕入れをタダで商品を生み出すことができると同義なのだ。

よって事業者はいつも従業員のサービス残業の誘惑に晒されている。

今回はそんな話をしよう。

 

【事業者と労働者の関係】事業者にとって労働力は富の源泉 

 

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事業者は労働力をタダ(サービス残業)で仕入れたい

事業者は労働力をお金を出して買う。

自前の生産設備に、労働者から買った労働力を投げ入れて、産出された商品・サービスを、顧客に売る。
かくて、事業者はお金を得る。

ところで、事業者ならば誰でも考えることがある。

「労働力をタダで仕入れられたらいいなあ!」

と言う事だ。

労働力の仕入れにお金が要らないなら、商品・サービスを非常に低コストに作ることができるし、それで出来上がった商品を普通の値段で売ったら、丸儲けして自分の財布を肥やすことが出来る。

まさしく全ての事業者の夢だ。

そしてその夢を叶える手段は、ちょっと手を伸ばせばすぐ届くところにある。そう、従業員からサービス残業を引き出すことだ。

 

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サービス残業は立派な泥棒

この国で、普通に正規雇用で働いていると、サビ残はそこらじゅうに溢れていると感じる。

いやもうほんとサビ残だらけ。
ふつうにサビ残前提で仕事が割り振られる。

しかし冷静に考えて見ると、無給で残業をさせるとは、労働者から労働力を無料で掠取する事である。

労働力は立派な商品だ。
それを金払わずに取り上げようとは、人の財布からお金を抜き取る事となんら変わらぬ行為であり、けだし盗人の所業と断ずるほか無い。

然るに、その犯罪行為が白昼堂々とそこかしこで行われ且つそれがまかり通っている現状を顧みるにつけ、これはもう、日本と言う国は、ほとんど労働犯罪大国の状況を示していると言うべきなのであります。

この地上に資本主義が登場して以来、資本家(事業者)による労働者の搾取は、ずーーーっと行われて来た。

資本家はいよいよ富み、労働者はゴミの様に使い棄てにされて来た。繰り返されてきた事なのだ。

 

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法律は労働者有利の流れになっている

だからこそ、資本家の行き過ぎた搾取を反省する機運もたびたび巻き起こった。

日本では、どれだけ法律を労働者有利にして、一方で事業者に厳しくしても、労働環境はほとんど良くならなかった。
事業者が『ムラ社会の空気』を用い、労働者の権利行使をけん制するからだ。

それでエスカレートしたんか知らんが、法律はますます労働者に有利な内容になって行った。

今、労働環境は、真に法律に沿って運用されたなら、凄まじく労働者に甘いものになる。

 

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サービス残業は、事業者にとっての麻薬

どれだけ厳しく法律で禁止しても、事業者がちょっと知恵を絞って『自主的なサビ残を促す組織管理』を策定して、ひとたび施行してしまえば、たちどころに労働者はそれにひれ伏し、目下自主的な残業を始め、『コスト』が圧縮されて事業者のサイフは肥る。

文字通り、濡れ手に粟。事業者にとって麻薬みたいなものである。

カリスマ経営者たちの伝記を読んだ事があるだろうか。松下なり本田なり。

彼らは魔術的に従業員から忠誠心を引き出して、従業員は喜悦しておのずからハードワークに身を投じ、それでカリスマたちは経営者としての成功の基礎を築いている。

昔はそれで良かったらしいのだ。
労働者のバックボーンも今とは違うのだし。

後輩は先輩に学ぶものだから、今の事業者にサビ残に対して罪の意識を持て、と言うのも無理な話なのかもしれない。

サビ残の誘惑は今なお事業者および、その走狗たる管理職の眼には燦然と映る。

社会はそれを許さない雰囲気にゆっくり確実に移っている。

サラリーマンという物語は急速にその説得力を失っているのである。

 

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